望月ふみ 望月ふみ
2018.10.05 ライフスタイル
2013年に日本公開され、ヒットを記録した台湾映画をリメイクした『あの頃、君を追いかけた』が公開になりました。
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舞台は架空の地方都市。友達と悪ふざけをして過ごす高校生の水島浩介(山田裕貴)は、ある時、授業をストップされたことで、先生から優等生の早瀬真愛(齋藤飛鳥)を監視役に付けられてしまう。
最初は真愛をうっとうしく感じる浩介だったが、徐々に彼女のやさしさに気づいていく。真愛も浩介に特別な感情を抱きはじめ……。
10年にわたるふたりの交流を軸に展開する青春群像劇で共演を果たした山田裕貴さん(28)と齋藤飛鳥さん(20)に、役との共通点や互いの印象だけでなく、仕事観も聞きました。
お互いをスゴイと感じた瞬間
――齋藤さんから見た山田さんの座長っぷり、山田さんから見て「さすが、トップアイドル!」と感じた瞬間を教えてください。
山田裕貴(以下、山田):そういう瞬間は何度もありましたね。一瞬で引き付ける力がすごいです。僕のセリフを受けての顔とか、笑っている顔とか。すげーなって。一瞬の輝きみたいなのがすごいんですよ。
――特にここはやられた!というシーンはありますか?
山田:浩介と真愛がテストでかけをして、真愛がピースをするところ。本当にかわいくて、僕、素で反応してます。やられたって感じで(笑)。まあ、どのシーンでもそうなんですけどね。
本人はどう意識していたか分からないですけど、映り方がステキって、武器だと思うんです。それは普段のお仕事から来てるんだろうと思いました。それから、話していて、頭の良さをすごく感じます。
さすが文学少女だなって。だから、真愛役はぴったりだと思いましたね。
――齋藤さんは、山田さんの座長っぷりはいかがでしたか?
齋藤飛鳥(以下、齋藤):私も含めて、あまりお芝居をしたことがない人とか、初めて映画に出るという人もいました。山田さんは経験値が圧倒的に違うので、お芝居に向き合っている姿を見ているだけで、自然と引っ張っていってくれました。
現場での存在の仕方も、みんなが楽しくできるように盛り上げてくださって、男子チームと女子チームが仲良くなっていく過程も、この作品には反映されるから、そこもちゃんと考えて、関係性を少しずつ作ってくれていたと思います。
私は普段、乃木坂メンバー以外の人と関わる機会があまりないので、最初は戸惑っていたんですけど、山田さんの接し方だとすっと受け入れられたし、私のこともすっと受け入れてくださったので、すごいなと思いました。
演じた役柄のセリフにシンクロ
あの頃
山田裕貴さん
――おふたりが、演じた役柄と自分とで共通する部分はありますか?
山田:僕はめちゃくちゃあります。この映画のまんまのような学生でしたし。別にかっこよくて人気者になっているような学生ではなくて、「あいつうるさいけど、おもしろいよな」みたいなタイプでした。浩介にはすごく近しいものを感じますね。
それから、この物語は高校3年から10年後までの話で、僕自身はちょうどその10年後の年齢になります。
だから、考え方や視野が広がったりといった部分はあっても、人間って10年経っても案外変わらないんだなということも分かります。それに、浩介の「すごい人間になりたい」と言っていた感じもすごく分かるんです。
――浩介、言ってましたね。
山田:僕もずっと思ってきたので。大金持ちになりたいとか、女の子にもてたいとか、そんなんじゃなくて、「すごい人間だね」って言われたい。そういうのが僕もすごくあった。
「1回きりの人生なんだから、教科書に載らなきゃ意味ねーじゃん」みたいなことを言っていたと思います(笑)。だから浩介とのシンクロ率はすごく高かったですね。
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――齋藤さんは真愛と似た部分は?
齋藤:真愛ちゃんもクールだと言われているし、私もクールだって言われる。そういう部分は近いですね。でも真愛ちゃんって優れすぎだからな。お嬢様なのにどんな人とも真正面で向き合うとか。
私はこんなに人と真正面に向き合ったりできないだろうなと思います。だから真愛ちゃんはステキだなと思いました。それに10年間ずっと想われ続けるくらいだし、相当魅力的な人なんだなって。
最初はどう演じたらいいのか分かりませんでした。学園のマドンナなので。私自身はマドンナの経験は一度もないし。
あの頃
齋藤飛鳥さん
――国民のマドンナじゃないですか!
齋藤:いやいや、全然。最初はどうしようって考え込んでしまって。
ただ、最近よくあるような感じのキラキラ学園ものだったら、役作りも必死に頑張らなきゃいけなかったんですけど、この映画の場合には、もっとリアルな学生の姿があったほうが作品のトーンに合うだろうと思いましたし、
監督からもあまり作りこむ必要はないと言われていたので、等身大のまま行こうと思ったんです。山田さんやほかのキャストさんとのやりとりで生まれてくるものが、そのまま映像になったらいいなという気持ちでやりました。
あ、ただ、山田さんじゃないですけど、私も真愛ちゃんと同じようにセリフですごく分かるところはありましたね。普段、同じこと言ってるなって。浩介に対して「あなたは私のことを美化してる」とか、「好きになられて不思議な気がする」とか。
山田:確かに飛鳥ちゃんも言いそう。
齋藤:ファンの人にもめっちゃ言っちゃいます。そこは、まんまだなと思いました。
普段から意識していること
あの頃
c「あの頃、君を追いかけた」フィルムパートナーズ
――本作は台湾のオリジナルをリメイクした作品です。舞台は架空の地方都市となっていますが、途中、日本の街中に台北でロケされたシーンも差し込まれています。
山田:そうですね。テンションがあがりました。台湾版も観て、すごく好きな作品なので。
齋藤:私も台湾版を観ていたので、聖地巡礼ができて有難かったです。台北で撮ったシーンは、素で楽しんでいました。クランクアップも台北でしたし。
山田:そうだったね。台湾版だと線路で歩きながら喋っている会話のところを、橋で撮ったんです。その時に飛鳥ちゃんが、「線路で撮りたかった。残念」って言ってくれていて。それがすごく印象として残っています。
ああ、ちゃんとそういう想いを持ってやってくれているんだなって。やっぱり内に熱いものを秘めている人なんだなと思いました。
――おふたりともいろんな思いを抱えながらお仕事されていると思います。仕事への向き合い方、普段感じていることを教えてもらえますか?
山田:役者って、基本、人のことを考える仕事。役の気持ちを考えるってことは、人の気持ちを考えるということなので、人の気持ちが分からない人にはなりたくないなと思っています。だからプライベートも勉強になる。
たとえば僕と合わないなと感じる人がいたとして、なぜそう感じるのか、その人はどうしてそんな言動をするのだろうといったことを、普段から考えるようにしています。
――20代後半になって、キャリアもますます順調ですね。
山田:そうですかね。大変なことやツライこともありますよ。でも、頑張るだけです。大変というのも、悪い意味じゃなくて、良い意味での大変ですし。考えることもいっぱいあって、悩むこともあるけど、でもそうした経験も、これから絶対に活きていくと思っています。
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――齋藤さんはお仕事をするにあたって、普段感じていることはありますか?
齋藤:大事にしているキーワードとしては、“諦める”ということですかね。あまりこだわりを持ち出すとよくないと感じています。
もちろん、すごくこだわりがあるからこそ、それが仕事に繋がったり、いい結果に繋がるというのも理解できるし、確かにそれは理想的だと思います。でも若いうちから、あまりこだわりを持ってしまうと、悪い方向にいきがちだと思うんです。
あの頃
山田裕貴さんと、齋藤飛鳥さん
――最後に公開に際してのメッセージをお願いします。
山田:観てもらわないと、いいも悪いも言ってもらえないので、とにかくまずは観てもらいたいんですが。
登場人物たちが、すごく愛すべきキャラクターたちなので、観てもらったら、みんなのことも好きになってもらって、出ていた俳優、女優、一人ひとりのことを応援していってもらえる映画になったら嬉しいです。
齋藤:(笑)。年齢が上で、青春時代を経験した方は思い出して心を動かされるだろうし、いま青春ど真ん中の人たちも何かしら共感すると思う。幅広い世代の人に観てもらって、いろんな気持ちを持ち帰ってもらいたいです。
<取材・文・撮影/望月ふみ>
【公開情報】
『あの頃、君を追いかけた』は10月5日より全国ロードショー